洗剤を考える
私たちは、朝起きてから夜寝るまで、様々な洗剤に接します。
私たちが洗剤を使用する目的は、汚れの原因である油を落すために使用します。
油の汚れを落とすには、油を使用するのが一番よいので、現在植物の油・動物の油・石油が 洗剤の原料になっています。
現在、店頭に出回っている洗剤の多くが、石油を原料とした合成洗剤です。
石油系の合成洗剤は、生分解度が低く、自然界に戻ることが少ないのです。
そして毒性も多く、川や海が汚染され、魚がいなくなったり奇形が多く発生したり、赤潮が増え たり等、社会問題にもなっています。
私たちの体にも、ガン・肝臓障害等悪影響を与える、と言っている学者もいます。
今の女性にシミの多いこと、主婦湿疹、子供達に多いアトピー性皮膚炎等も関係があると聞い ています。
私たちは便利な暮らしになれ、安全のようなつもりでいませんでしょうか。合成洗剤で汚れた水 は、下流域で水を使う人ぴとへも影響します。
下水処理や上水処理で除去しきれず飲み水に入り込んでくるのです。
汚染された水が、巡り巡って私たちの口に入っているという、皮肉な事態を繰り返さないため に、どのような選択をすぺきなのか、真剣に考えてみる必要があります。
合成洗剤の原料には、親油基には長鎖状のアルキル基か、これにベンゼン環が加わったも のを使います。
ベンゼン環から分解生成される物質も不安とされる原因をつくっています。
親水基は陰イオン性基のスルホン酸や、陽イオン性基の第四アンモニウムイオン、非イオン 性の水酸基、両イオン性等いろいろあり、生物分解性も生体への毒性もかなり異なっていま す。
このうち、LAS,AS,AES,AOS,SAS,ABS等スルホン基を持つS系の洗剤はとくに毒性が強いの で、問題とされています。
洗剤容器に書かれている成分の表示を下記の表を参考に調べてみてください。
洗剤の成分表示の読み方-------界面活性剤の表示名 (1983年3月11日改正)
| 改正前の表示名 | 改正表示名 | 略称 | 陰 イ オ ン 系 界 面 活 性 剤 | 脂肪酸系(陰イオン) | 脂肪酸ナトリウム(純石ケン分) 脂肪酸カリウム(純石ケン分) | 石けん | アルファスルホ脂肪酸エステルナトリウム | ASF | 直鎖アルキルペンゼン系(陰イオン) | 直鎖アルキルペンゼンスルホン酸ナトリウム | LAS | 側鎖アルキルベンゼン系(陰イオン) | 側鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム | ABS | 高級アルコール系(陰イオン) | アルキル硫酸エステルナトリウム | AS | アルキルエーテル硫酸エステルナトリウム | AES | アルファオレフィン(陰イオン) | アルファオレフィンスルホン酸ナトリウム | AOS | ノルマルパラフィン系(陰イオン) | アルキルスルホン酸ナトリウム | SAS | 非 イ オ ン 系 界 面 活 性 剤 | 脂肪酸系(非イオン) | しょ糠脂肪酸エステル | SE | ソルピタン脂肪酸エステル | | ポリオキシエチレンソルピタン脂肪酸エステル | TWEEN | ポリオキシエチレン脂肪酸エステル | PEG (FAE) | 脂肪酸系(非イオン)または,牛脂または ヤシ油脂肪酸ジェタノールアミン | 脂肪酸アルカノールアミド | DA (AZ) | 高級アルコール系(非イオン) | ポリオキシエチレンアルキルエーテル | POE・R (AE) | アルキルフェノール系(非イオン) | ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル | POE・P (APE) | 両 性 | アミノ酸系 | アルキルアミノ脂肪酸ナトリウム | | ベタイン系 | アルキルベタイン | | (三上美樹・藤原邦達・小林勇「図説・洗剤のすべて」合同出版より)
次のページでは各種界面活性剤の安全性や環境影響についてランク付けしてあります。
洗剤は汚れを落とすために使うものです。ですからキレイになればなる程、キレイになりさえす ればそれでよいのです。しかし、私たちが住む地球環境を破壊してはいけない、そして何よりも 自分自身に害があっては困ります。
では、キレイにするのはあきらめるか、地球や自分への害は我慢するか、この選択が長年の 洗剤問題を引き起こしているのです。
キレイになり、さらに地球と自分自身にやさしい洗剤を使いたいものです。
界面活性剤にも種類があり、洗剤に用いられるのは陰イオン性と非イオン性で、非イオン性の 方が圧倒的に洗浄力に優れているにも関わらず、一般的には安価な陰イオン性界面活性剤 の洗剤がほとんどです。
石鹸も陰イオン性界面活性剤です。
材料は動物性油脂ですが、大切な食料を減らすことはやめようなどの理由から、掘れば出てく る石油を原料とすることになりました。
そして全世界で様々な陰イオン性界面活性剤(いわゆる合成洗剤)がつくられるようになったの です。
自然の浄化作用にゆとりがあった頃は、石鹸を含めた洗剤などが川に捨てられても、全て浄 化の方向に進んだのですが、途方もなく産業が発達し、浄化作用の限界を超えてしまった現 在、環境問題が大きく取り上げられるようになりました。
つまり、生分解性(微生物によって分解される程度)の高いものが要求される時代になったので す。
「植物園」は人に自然にやさしく、従来の洗浄力に高い安全性を誇ります。
そして、少々高くついても、公害を招かず生分解性の高い非イオン系界面活性剤
その証拠に、洗剤のみならず医薬品、化粧品、食品などにも用いられています。
洗剤に使うことがもったいない界面活性剤なのです。

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